セルロースファイバーの用途
そこはかとなく強そうな名前のセルロースファイバーは、住宅の断熱材として壁や天井の内部にたまに使用されています。
5人組の戦隊物を連想させる名前をしていますしカタカナなので戦闘力が高そう、と勝手にイメージしてしまいますが、
正義のヒーローを素材としているのではなく、また武器を携えて人類のピンチに駆けつけてくるような存在ではありません。
戦いにおいてはほぼ無力で、パワーもスピードも持ち合わせていないごく普通の建材であり、そこに期待してはいけません。
原料は古紙で、ようは古新聞や古雑誌をリサイクルしているエコロジーな断熱材というのがその正体になり、
強くはありませんが簡単に手に入れることが出来るので建築の際にはそこそこ重宝されるでしょう。
古新聞を再生して製造されるという点にも注目で、これからの地球環境を考えると自然素材の住宅なんかに憧れる人なら採用したくなる建材でしょう。
エコロジーな家に住みたい、化学物質の少ない無添加住宅で子供を育てたい、そう希望する人は年々増加していますし、
環境問題を真剣に考える人にとってリサイクルはそれだけで充分な武器と言っても過言ではないのです。
どのような場所にでも使えるのも魅力で、床下や天井にも仕込るので部屋を丸々セルロースファイバーで囲ってしまうこともできちゃいます。
窓やドアなど出入り口はその限りではありませんが、扉になら組み込むことは不可能ではなく、窓のない部屋でいいのならいちおう実現は可能です。
セルロースファイバーの気密性
ではセルロースファイバーはどのように優れているのか、そこにスポットライトを当ててみようではありませんか。
断熱材としての性能は疑う余地はなく、これまでの実績はみなさんも耳にしたことくらいあるでしょうから今更詳しく説明するまでもありません。
無添加住宅の何割かにはセルロースファイバーが使われているでしょうし、この先もきっと用いられ続けると確信しております。
他にも気密性能が高いので住居内の生活しやすい空間を守ってくれることが期待できますし、ついでに防音性能もなかなかのものです。
断熱性・気密性が高いということは部屋の中の暖かな空気が外に洩れるのを防いでくれるので、冬に隙間風に悩まされる心配も少なくなるでしょう。
外気が冷たければ壁を挟んで部屋内部の熱を奪われやすくもなりますが、気密性能の高いセルロースファイバーならそれもしっかりガードしてくれます。
夏にはクーラーから吹き出るひんやりとした冷風を部屋の外に漏らさず、効率よくおうちの中を快適な空間にしてくれるでしょう。
どんなに強力なエアコンでも冷気が外に逃げ出してしまうような造りの部屋では、いつまで経っても涼しい空間にすることができなかったり、
出来たとしても必要以上に電力を消費するのでエコロジーではありません。
その点セルロースファイバーを断熱材に使用しているお部屋は、最小限のエネルギーで快適空間を創造してくれるので光熱費もお得でしょう。
セルロースファイバーの劣化
素晴らしい断熱性能のセルロースファイバーですが、上を見たらもっと優れた建材もあるのでナンバーワンとは呼べません。
例えばウレタンと比較するとその性能半分、50%の力でだいたい互角の勝負といったところでしょうか、残念ながら。
そして一番の問題は耐用年数が少ないことでしょう。いつまでも長く性能を維持してくれれば最高なのですが、時間が経つにつれて経年劣化が大きくなり、
新築時の高性能は見る影もなくなってしまいます。
これは時の流れと共に沈下するのが原因で、そのせいでセルロースファイバーに望まれない隙間が発生してしまうからです。
いくら熱を逃さない、侵入させまいと頑張っても隙間があちこちに出来てしまったらそこからやすやすと熱が移動してしまいます。
「お前の目は節穴か!」とかっこよく叫ぶシーンはよくありますが、その節穴がセルロースファイバーに発生するまでの時間はあまり長くはないのです。
隙間が生まれてもそのまま使用を続行することができるので急遽リフォームだ、と慌てるほどではありませんが、
断熱性能が劣ってしまったままでいつまで我慢するのか、という問題になるでしょう。
壁の内部にあるので見た目はそう気にはなりませんが、冷暖房の効きが悪くなったと肌で感じられるようになったらリフォームを検討する時期です。